ゆっくりと西に伝播

 地球の自転による見かけの力であるコリオリ力は,自転軸に垂直な方向のみに働く力です.よって,各緯度での水平方向に働くコリオリ力の大きさは異なり,高緯度ほど強く,低緯度ほど弱くなります.当然,赤道上では水平方向には働きません.緯度によってコリオリ力の強さに差異があると,流速がコリオリ力を受けて(北半球では)右に曲がる程度も異なってきます.高緯度ほど強く曲がり(短い回転半径),低緯度ほど弱く曲がる(長い回転半径)ことになります.

 実際の流速現象がどうしても異なる緯度間をまたがって流れる以上は,水平流速現象はコリオリ力の南北差異の影響を必ず受けてしまいます.それは,北ほど強く南ほど弱く曲がる性質から,(ある水平領域を平均的に見ると)東から西へ移動していくことになります.これはロスビー波と呼ばれ,水平運動現象を東から西へ移動させる現象です.

 中規模渦も水平流速を持つ以上,当然ロスビー波の影響を受けるので,東から西へと移動していきます.日本南岸の中規模渦の場合,速くても10 cm/s以下の速さで移動していると考えられています.

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