研究内容

高密度高周波プラズマ源の開発

高周波プラズマ源にはその生成機構の違いによって様々なプラズマ源が存在します。その中でも他のプラズマ源と比べて1~2桁高い密度のプラズマを生成できるのがヘリコンプラズマと呼ばれるプラズマ源で、次世代の大出力型電気推進機への応用が期待されています。本研究室では主に流体シミュレーションにより、ヘリコンプラズマの生成機構の解明とさらなる高密度化を目的とした研究を行っています。また中部大学にある装置を使ったヘリコンプラズマ生成実験にも取り組んでいます。


ヘリコンプラズマ生成機構

ヘリコンプラズマ放電では磁化プラズマ中を伝搬する波動を用いることにより、高効率に電子を加熱し、背景の中性ガスの電離を促進します。実験では比較的容易に10^19 [m^-3]程度の高密度なプラズマが得られるため、様々なアプリケーションへの応用が期待されています。一方で既存のプラズマ源に代わる有用性を実証するためには、波動によるプラズマ加熱機構の更なる理解が求められます。我々は流体シミュレーションにより、ヘリコンプラズマ生成の時空間発展を調べています。これまでに定常状態に至るまでに加熱構造と密度分布が変化する事、高密度状態へと遷移する機構などを明らかにしました。


ヘリコンプラズマ生成の時空間発展(a)-(d)はプラズマ密度分布、(d)-(f)は波動によるパワー吸収、(g)-(i)は生成・消失のフラックスバランスを示している。


中性粒子枯渇過程

高周波プラズマ生成では入力パワーを上げても密度が飽和してしまいます。この密度限界はイオン化の種となる中性粒子が枯渇することが原因だと考えられており、プラズマ源の更なる高密度化を目指すにあたっては、この中性粒子枯渇過程を解明する必要があります。現在は中性流体の運動を含むシミュレーションにより中性粒子枯渇過程の時空間発展の解析を進めています。

プラズマ密度と中性粒子密度の2次元(r-z)分布。中性粒子密度分布をみると、 0.005 m<r<0.015 mで中性粒子が枯渇している。